ラマソフト・サプライチェーン・ブログ

需要プランナーとのディナーの席にて

By LLamasoft  March 28, 2019

こんにちは、ラマソフトでGroup Vice President, Industry Strategy Operationalを担当しているマドハブ・ダーバ(Dr. Madhav Durbha)です。先日、ある大手アパレル企業で需要計画業務のディレクターとして働いているステイシーと食事をする機会がありました。途中、サプライチェーンにおけるデータサイエンスの役割の話になり、ステイシーは予測の精度を上げるために機械学習のアルゴリズム構築を担当する優秀なデータサイエンティストを数名雇ったということを興奮気味に話していました。ステイシーの会社が何年にもわたり、需要計画ソフトウェアの導入に何百万ドルも投資していたことは知っていたので、そのソフトウェアを使ってどんなことをしているのかステイシーに尋ねてみたところ、思った通りの答えが返ってきました。

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4年前に需要計画ソフトウェアを導入して以来、彼女の会社のビジネスは急激に変化しました。直販を強化するために新しくデジタル部門の責任者が招かれ、その責任者は個々の顧客向けにカスタマイズされたサービスやダイナミック・プライシング価格戦略などを用いて、顧客のエンゲージメント率を向上させるために、最新のテクノロジーに多額の投資を行いました。消費者心理の高まりや歴史的な低失業率により、需要はさらに加速しました。こうした変化が起こっている中、前述の需要計画ソフトウェアは、未来を予測するための基盤として過去3年分のデータに大きく依存していました。このソフトウェアにより合理的な方法で季節変動性や傾向をつかむことはできたものの、価格、プロモーションなどの要因や、消費者心理や失業率といった外的マクロ要因など、ビジネスに大きく影響するさらなる要因に関してはまったく把握することができませんでした。

これにより、予測というものの信頼性が低下してしまいました。ステイシーのチームの計画担当者たちは、システムが生成した予測をエクセルにエクスポートし、それぞれの予測に対し個人の主観的な判断を行っていたのですが、人間の先入観により予測精度をさらに低下させたため、状況が一層悪化する結果となりました。そこでステイシーは、予算の理由から東ヨーロッパにてデータサイエンティストを数人雇い、彼らに予測精度を向上させるため機械学習の技術を利用させました。データサイエンティストはR言語でプログラムを書き、販売実績データに対して価格・プロモーションの要因および外部マクロ要因をブレンディングしました。長期にわたるプロジェクトになりましたが、この戦略は功を奏しました。データサイエンティストは毎週その週のはじめに、まるで魔法でも使っているかのように膨大な量のスプレッドシートを作成し予測を更新しました。それを会社の需要計画システムにロードし、計画担当者がレビューを行います。しかし、データサイエンティストたちが「何をどのように」行ったのか、他の社員は誰も知る由もなかったのです。

 

ステイシーの話を聞きながら、私は妄想にふけっていました。これは私がこれまでに何度となく聞いたストーリーと同じなのです。多くの企業はパッケージソフトウェアに多額の投資を行ったにも関わらず、計画担当者や分析担当者は結局ただオフラインのエクセルシートでほとんどの作業を行い、データを計画システムに流して実行に移すので、ソフトウェアは中身のない無意味なものになってしまっています。これらのアプリケーションのユーザーはアプリケーションを使うために時間を使うのではなく、アプリケーション以外の作業にはるかに時間を費やしています。ステイシーの組織は、全体的には進歩があったものの、期待していた投資利益率を得ることはできませんでした。それに加えて、ステイシーがとった行動はサステイナブル(持続可能)ではありません。いつデータサイエンティストが辞職し、彼らが構築した知的資産を失ってもおかしくない状態なのです。

 

ほとんどの企業のパッケージソフトウェアは、ステイシーの会社の需要計画システムと変わりがないでしょう。ソフトウェアは古い枠組みの上に構築されており、柔軟性のないデータモデルがERPシステムに組み込まれている状態で、それゆえに組織内のデータが過度に強調される事態を引き起こしてしまいます。プランニングアルゴリズム自体は明示的にプログラムされていて、自己学習機能はほとんど、あるいは全く持っていません。ユーザーエクスペリエンスに関して言えば、こういったアプリケーションは比較的「静的」なビューを提供します。また、あらゆる変更に、ベンダーやITチームによるサポートが必要になります。多くの場合、計画担当者はビジネス・インテリジェンス(BI)ツールに頼ってデータの可視化や分析を行います。こうしたBIツールは実際のプランから切り離されてしまっているため、意思決定に後れを生むことになります。

 

しかし、新時代のデジタルプラットフォームの台頭により、今すべてが変わってきています。需要計画に関して言えば、これまでは過去3年分の売上実績データを外部要因と組み合わせなければなりませんでしたが、新時代のデータブレンディングツールでは、SQLスクリプトなどの高度なスキルは必要なく、ビジュアル主体になります。これによりビジネスユーザーにデータブレンディングの能力を提供できるようになります。アルゴリズムはブレンディングされたデータから学習し、需要パターンに真に影響する因果要因を浮かび上がらせますので、不要な情報に悩むことはなくなります。これらのアルゴリズムが一か所にまとまって必要な手段のみを計画担当者に提供できるようになるばかりでなく、博士号を持つデータサイエンティストだけでなく誰もがサプライチェーン意思決定のためのインテリジェンスを利用できるようになります。高度に設定変更が可能なビューを提供することによって、直感的なユーザーエクスペリエンスを実現します。その結果、計画担当者はエクセルでのオフライン作業に相当な労力と時間を費やすのではなく、アプリケーションの本来のパワー活用して作業できるようになり、完全にコネクティッドされたやり方で意思決定をすることを可能にします。

 

幸いにしてステイシーのような方々は、何百万ドルも投資したエンタープライズシステムを置き換える必要はありません。代わりに、既存のシステム層の上にこうした新時代のテクノロジーを追加して使うことができます。計画担当者は、視覚的かつ分かりやすい環境で、タスクを大げさなITプロジェクトにすることなく、独自のワークフローやアプリを設計してパッケージソフトウェアに不足していることを補完することができます。これにより計画担当者は単調でつまらない作業から解放され、ビジネスに関わる意思決定に集中することが可能になるのです。

 

 

これらの考えが頭をよぎり、私は微笑んでいました。「何がそんなに面白いの?」と聞くステイシーに、メニューをみながら、「今から話すよ。その前にまずはメインコースを注文しよう」と答えました。