ラマソフト・サプライチェーン・ブログ

関税、貿易、そしてグローバル・サプライチェーン

By LLamasoft  April 3, 2018

先日、トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに新たな関税を課すと発表したことは、世界的な貿易戦争の議論を呼ぶとともに、経済顧問トップの辞任や既に不安定であった株式市場を揺るがす結果になりました。こうした話題は大きく報じられるものですが、その陰で密かに業務が多忙化しているプロフェッショナルたちがいます。もちろんそれは、サプライチェーン業界の人たちです。

サプライチェーンはその名の通り、サプライヤー、生産、海運、港湾、倉庫、鉄道、トラック、店舗、顧客など多くの拠点や関係が絡み合い成り立っています。競争力と収益性を持続するには、企業はこれらすべての要素について適切なバランスを見いだし、維持しなければなりません。「チェーン(鎖)のは強さは一番弱い部分で決まる」と言いますが、新たなコストやリードタイムの変化であれ、信頼性の低下であれ、いかなる変化もビジネスに重大な結果をもたらすことがあります。

大統領選の直後に一部のお客様から聞いた話では、既に社内のサプライチェーンデザインのチームが輸入税と関税の可能性を見据えた、新たな「what-if(もしも)」のシナリオ分析と危機管理計画の策定に着手していたといいます。お客様が判断しようとしていたのは、新たなコストが供給コスト(cost-to-serve)や収益に影響するか、だとしたら、それはどこに影響するかということでした。

ラマソフトの共同創設者であり取締役副社長のToby Brozoznowskiは最近、フォーブスの取材でスティーブ・バンカー氏と話をしました。その時のテーマは、サプライチェーンデザインのテクノロジーで、市場の不安定さと変化に対する組織の準備力と対応力をどう向上できるかでした。

フォーブスの中で話した通り、企業は良かれ悪しかれ、ビジネスの供給と需要の両面でのグローバル化に迫られています。同時にサプライチェーンもグローバルに拡大しています。他社と競合していくには、企業は継続的にサービスとコストをトレードオフする必要があります。成功企業であっても微妙なバランスで成り立っていることが多く、貿易戦争のように、そのバランスを崩す恐れのあるものすべてが大きなリスクです。

このような状況では、企業は極めて慎重に物流業務全体をモデル化することが求められます。固定費、変動費問わず単価をすべて組み込み、変動費にはボリュームや場所に基づく税金、関税、現地の要件を考慮する必要があります。

サプライチェーンのデジタルモデルが完成すれば、処方的分析や数学的ソルバーを使って、何が「最適」かを判断できるようになります。 そして確かに何が最適かを知ることは重要ですが、業界トップクラスの企業は最適性が失われる時期についても同様の注意を払っています。つまり、主なコスト要素のうちコントロールできないもの(例えば、通貨価値、燃料コスト、新たな関税)に関して感度分析を行い、どの数値の時に最適な解が変わり、新たなポリシーや体制が必要になるか判断しているのです。

たとえば、ある会社では、燃料コストの上昇率が30%以内であれば中央倉庫に製品を在庫し、それ以上上昇した場合には、輸送距離の短縮と収益性回復のため地区倉庫への移行が必要だという分析結果が出るかもしれません。

新たな関税が導入されれば、バランスが崩れて戦略の転換を求められるサプライチェーンは多く、さらに相手国も報復関税で対抗となれば、サプライチェーン担当の皆さんは山積みの仕事を抱えることになるでしょう。サプライチェーンデザインの必要性はますます高まっています。

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