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サプライチェーンのモデル化でリスクを管理港湾閉鎖でそのメリットが鮮明に

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サプライチェーンのモデル化でリスクを管理港湾閉鎖でそのメリットが鮮明に

2015年、カリフォルニア州西海岸の港湾労働者が大規模なストライキを行いました。グローバル企業にとっては、サプライチェーンを継続的にプランニングする重要性が再び浮き彫りになった出来事でした。米国内の貨物のほぼ半分が集中するロサンゼルスとロングビーチの港は、自動車、家具、衣料品、電気製品、原油などアジアからの輸入の主な玄関口となっています。人員不足と全米に拡大した輸送の遅れは、数十億ドルもの収益の損失や延滞、過剰在庫やリードタイムの長期化を招きました。

港湾ストは物流のスピードを乱し、リードタイムを拡大しただけでなく、輸送中の製品にも滞りを生じました。特に傷みやすい製品では影響が深刻で、食品や飲料メーカー、スーパー、医薬品メーカーなど多くの企業にとって、利益が捨て去られることになりました。

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サプライチェーンをモデル化し、混乱時の緊急対応策を見い出す

サプライチェーンの設計テクノロジーは、サプライチェーンネットワークの運用、輸送経路、在庫レベルをモデル化、最適化、シミュレーションし、混乱時の懸念事項に対応できるようサポートします。既存サプライチェーンのエンドツーエンドのモデルを構築した上で、港湾閉鎖など将来の混乱を考慮した様々な「what-if」、つまり仮説のシナリオを実行することにより、起こり得る事態に備え、最善の対応を判断できます。シナリオの分析を活用して、サプライチェーン内の過度な活動の集中や、特定サプライヤーへの依存が原因で混乱が生じた場合の事前対策も検討できます。混乱を生む原因として、例えば、1つの調達元による供給や生産、限られた運送業者や1つの手段のみを利用した製品の輸送、極端な気象現象の頻発地域への顧客収益の
集中などが挙げられます。

サプライチェーンモデルを事前に構築、維持していれば、自然災害、ストライキ、政情不安といった予期せぬ状況においても迅速な対応が可能です。既存モデルに新たなシナリオを組み込むことで、業務や収益への支障を最小限にする最善策を見い出し、それを実行する前に現実の条件で詳細な検証を行い、そのパフォーマンスと実現性を評価できます。

リスク最小化のため「ニアショア戦略」を評価する

オフショア生産のコスト面でのメリットが薄れつつある今、米国拠点の企業の多くが生産戦略の見直しを行っています。人件費の上昇、生産率や品質への懸念が、西海岸の港湾ストや海上輸送時間の変動や長期化と相まり、アジアでの製造リスクの拡大につながりました。一方、メキシコなど北米各国への「ニアショア」が様々な点で有利だと考えられるようになっています。メキシコに拠点を置くメリットとして、例えば、短いリードタイム、44か国との有利な貿易協定、生産施設の長い実績と拡大が挙げられるでしょう。

拠点の場所について基本的な決定を下す際、部分的なコストのみに注目し、様々なコスト要因(輸送、在庫、税金など)の依存関係を含めたサプライチェーンの全体像を見落としてしまうことがよくあります。サプライチェーンのモデル化を行えば、あらゆるコスト要因とサービスレベルとの二律背反を見極め、サプライチェーン全体として最適な意思決定を行うことができます。

また、クラウドを使った世界各地のリスク指標データを、サプライチェーンモデルに組み込むことも可能です。具体的には、政情不安、物流業績、汚職、気象リスク、ビジネスのしやすさなどの指標データで、業界で高く評価されているものです。

 

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サプライチェーンのリスクを管理する3つの効果的な戦略要素

サプライチェーンの現実モデルを作成することで、サプライチェーンのリスクを軽減する3つの大事な要素が実施可能となります。

  1. 可視化: 現行のサプライチェーンの構成とモノの流れは?ネットワークを目に見える形にすれば、調達、モノの流れ、混乱による収益への影響、特定の供給元への集中・依存が
    大きい製品を把握できるようになります。
  2. シナリオ分析: これを試したらどうなる?コストやサービスへの影響は?サプライチェーンの現状を反映したデジタルモデルを構築すれば、リスク軽減や危機的状況からの回復力強化を図れるよう、サプライチェーンを再設計する最適な戦略作りが可能になります。さらに、その時々の最大リスクに対応する危機管理計画も策定できるようになります。
  3. 迅速な対応: 予想外の事態にどう対応すべき?サプライチェーンのデジタルモデルを常に維持していれば、想定外の事態が生じた場合でも、様々な代替策について推測ではなく、検証を行い、迅速かつ賢明な対応ができるようになります。

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