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小売サプライチェーンデザイン オムニチャネルの先を行く9つの戦略

世界の主要な小売企業の多くが、最適なサプライチェーンをデザインすることで望ましい(最高の)顧客サービスレベルを最小のコストで達成し、その利益を急激に向上させています。このホワイトペーパーでは、世界の主要小売企業が利益を最大化するためのサプライチェーンデザイン戦略について説明します。これらの戦略には、オムニチャンネルフルフィルメント、サプライチェーン分類、適正在庫、モノの流れの最適化などが含まれます。

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小売サプライチェーンデザイン オムニチャネルの先を行く9つの戦略

全ての製品を一様に扱っていることが、コストの増加とサービスレベルの低下を招いているとしたら?
最小コストで仕入れた商品が、実際には収益率低下の原因になっているとしたら?

小売企業にとっての最大の目標は、最小コストで望ましい(つまり最高の)顧客サービスレベルを達成することです。それにはまず、仕入価格、発注量、下流のサプライチェーンコストを把握し、望ましいサービスレベルと利益最大化を実現する「均衡点」を知る必要があります。

小売企業は仕入価格、発注量、下流のサプライチェーンコストを把握し、望ましいサービスレベルと利益最大化を実現する「均衡点」を知る必要があります。

世界の小売大手の多くは、最適なサプライチェーンをデザインして利益率を大幅に改善しています。モデル化のテクノロジーを活用し、様々な市場の状況や想定においてサプライチェーンがどう機能するかを検討し、コスト、サービス、リスクのトレードオフを分析しています。実際のサプライチェーンを反映したエンドツーエンドのデジタルモデルを維持していれば、市場状況の変化に応じてサプライチェーンの運用を見直し、最適化し直すことができます。ラマソフト を利用してサプライチェーンデザインを行ったケースでは、多くの場合、顧客サービスのレベルを維持または改善しつつ、10~20%の経費節減が可能となっています。ほとんどの大手小売企業にとって、これは数億円規模のサプライチェーンコストの削減に相当します。

この資料の内容

この資料では、世界の主要小売企業が利益最大化のために実施したサプライチェーンデザインの戦略について考察します。具体的には以下の9つの戦略です。

  1.  オムニチャネルのフルフィルメント
  2.  サプライチェーンのセグメント化
  3.  適正規模の在庫
  4.  モノの流れの最適化
  5.  数量割引の最適利用
  6.  インバウンドの集約
  7.  固定の巡回型経路のデザイン
  8.  DCと店舗の割り振り
  9.  サプライチェーンコストの最適化

これらの戦略では、既存資産を活用して素早い効果を得られる場合もあれば、例えば施設の移転や拡張など大がかりな変更を求められることもあります。いずれにしても、多くの場合で
サプライチェーンの大幅な改善のきっかけとなっています。

優れたサプライチェーンデザインの能力を得ることは、企業に持続可能な競争力をもたらす投資となるでしょう。

 

Strategy 1: オムニチャネル・フルフィルメント

ビジネスの課題:

アマゾンのような大手EC事業者の出現によりオンラインフィルメントのレベルが上がり、EC利用者は即日発送や送料無料、返品無料を期待するようになりました。オムニチャネルによるフルフィルメントでは、全ての小売顧客に対し新たなレベルのサービスや利便性の提供が可能です。小売企業の目標は、様々なフルフィルメントの拠点を活用して、顧客の利便性向上、サービス時間と在庫レベルの改善、コストの削減を実現することです。

サプライチェーンデザインのソリューション:

ネットワーク最適化やグリーンフィールド(新規拠点)分析などサプライチェーンデザインのソリューションは、サービスの制約条件に基づいたソーシングやインバウンドの輸送コストの削減に役立ちます。EC、実店舗、第三者の販売店など各チャネル特有の需要を満たしつつ、こうしたチャネルを全体のコスト最小化にどう活用できるかが重要になります。多段階の在庫最適化では、全体のコストを最小限に抑えながらサービス要件を満たせるよう、各段階の在庫レベルを最適規模とする在庫プランを提案します。

ケーススタディ:

ある大手百貨店はインターネット販売の拡大に対応するため、翌日、翌々日配送の効率的なネットワークをデザインしたいと考えました。具体的には、最適なフルフィルメント・センター
の数、場所、規模の割り出しや、顧客への最適な商品の流れを判断することでした。ネットワーク最適化とグリーンフィールド分析を活用し、同百貨店は新たな施設の設立と、必要に応じ
た段階的なキャパシティの増強を図るための8年間の計画を策定しました。

分析では、通常配送、翌日配送、翌々日配送のコストとサービス時間やゾーンスキップの戦略を検討しました。その結果、実店舗の活用が提案されました。インターネット販売での需要の
最盛期や、フルフィルメント・センターからの発送よりも時間やコスト面で実店舗利用の方が効率的である場合に、実店舗でその地域の需要に対応するというものでした。

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Strategy 2: サプライチェーンのセグメント化

ビジネスの課題:

多くの小売企業では、顧客需要に対応するため可能な限り多くのSKUを維持しています。顧客の購入パターンは製品のサイズや色、地域、価格、季節などにより様々ですが、こうしたパターンが考慮されず、全ての製品が固定のサプライチェーンの中で一様な動きをしていることが多いようです。また、同じ在庫戦略が全ての製品で実施されているために、需要や利益率の高い製品の在庫切れや、売れ行きの良くない製品の過剰在庫につながるケースもあるようです。

サプライチェーンデザインのソリューション:

サプライチェーンのセグメント化は、個々の製品の在庫や提供のニーズに合わせるため、サプライチェーンのどの部分で製品の差別化を行うかを判断する優れた方法です。利益率、回転率、変動性といった製品の主な特性を分析することで、製品の傾向や同類製品の「グループ」を明確化できます。例えば、動きの速い製品、遅い製品、利益率が高い製品、低い製品などです。各製品グループには特定のサービス目標や在庫目標、提供方法があり、それぞれ異なる仕入管理やサプライチェーンの戦略が求められるでしょう。サプライチェーンをセグメント化すると、各製品グループごとの戦略をモデル化、検証、実施でき、最小の運営コストで最適なパフォーマンスを図ることができるでしょう。

ケーススタディ:

ある大型小売チェーンは、ニ階層の流通ネットワークで2万を超えるSKUを動かしていました。数か所ある全国配送センター(NDC)でサプライヤーからのインバウンドを集約し、地区
配送センター(RDC)に輸送。その後各RDCで管轄店舗に商品を供給します。このサプライチェーンを商品の回転率、利益率、需要変動性に基づき三次元チャートで表したところ、10の
セグメントに区分できることが分かりました。

 

図 2: 利益率と回転率による製品グループのチャート。左上(ブルー)は利益率、回転率とも高い製品グループ。左下(グリーン)は利益率、回転率ともに低い製品グループ。

図 2: 利益率と回転率による製品グループのチャート。左上(ブルー)は利益率、回転率とも高い製品グループ。左下(グリーン)は利益率、回転率ともに低い製品グループ。

 

  •  販売量が多く利益率も高い商品の在庫が最適化され、販売機会の逸失の防止、収益の増加につながった。
  •  販売量が少なく利益率も低い商品の在庫を一部のRDCに集中化し、店舗の在庫量を減らしたことでコスト軽減につながった。
  •  需要の変動が大きく利益率が高い商品については、店舗間の移送(転送)という新たな仕組みを導入。ある店舗で在庫切れがあっても、別の店舗から1時間以内に商品を調達できるようになり、販売機会逸失の防止と同時に在庫コストの軽減につながった。

 

Strategy 3: 最適規模の在庫

ビジネスの課題:

サプライチェーン内の製品は、それぞれに利益率や回転率が異なります。また、収益上の重要性も製品によって違います。サプライチェーンのセグメントを定義すれば、各製品グループのサービス要件や望ましい充足率についてより効果的な意思決定が可能となるでしょう。しかしながら、顧客の需要やサプライヤーの供給は変動するものであるため、十分な在庫量を正確に判断することは困難です。サプライチェーンが複数の階層で構成され、各階層で在庫判断が求められる場合は、より難しい問題となります。

サプライチェーンデザインのソリューション:

多段階の在庫最適化では、目標とするサービスレベルを最小コストで実現するために必要な在庫量をサプライチェーンの各レベル、各拠点、SKU単位、そしてカテゴリーごとに判断します。この分析は需要と供給双方の本質的な変動性を考慮し、サービス要件を満たす最小コストの在庫保有ソリューションを提案します。このアプローチでは、例えば「シカゴの店舗では、SKU#333は99%の在庫率が欲しい」というように、各商品や拠点のサービス要件を定義します。そして、在庫最適化のテクノロジーが各階層、各拠点での最低レベルの在庫量を提案し、最小の在庫保有コストでサービス目標が達成できるようにします。

ケーススタディ:

ある食料品チェーンでは、7か所の地区配送センターで商品を在庫し、国内500を超える店舗に配送しています。主要な1,500 SKUは全てのDCで在庫しています。これは、販売量全体の70%超に相当します。この会社は製品の特徴に基づき、85%から99%の間で7段階のサービスレベルを設定しました。

多段階の在庫最適化を使い、各製品について拠点ごとに需要とリードタイムの変動性を分析したところ、多くの拠点で在庫レベルを引き上げる必要があることが示されました。しかしながら、全体としては5億円相当の在庫削減が可能とされました。具体的には、ある商品の在庫量を3~4拠点で増やし、他の拠点では減らして「適正規模」の在庫を維持します。不適切な仕入管理による過剰なサプライチェーンコストを回避し最終コストを最小限に抑えることで、全体的な経費節減につながりました。

 

図 3: 7つのサービスレベルのカテゴリー 7つのサービスレベルごとに、過去の在庫レベル(オレンジ)、新たに算出された最適化後の在庫レベル(グリーン)、その差(ブ ルー)をグラフ化。ブルーの棒が下向きに伸びている場合は在庫減、上向きは在庫増が適切であることを示しています。棒の長 さは、在庫レベルを金額で表しています。

図 3: 7つのサービスレベルのカテゴリー
7つのサービスレベルごとに、過去の在庫レベル(オレンジ)、新たに算出された最適化後の在庫レベル(グリーン)、その差(ブ
ルー)をグラフ化。ブルーの棒が下向きに伸びている場合は在庫減、上向きは在庫増が適切であることを示しています。棒の長
さは、在庫レベルを金額で表しています。

 

 

Strategy 4: モノの流れの最適化

ビジネスの課題:

調達先から顧客までの商品の流れは、様々な可変の要素で決まります。例えば、サプライヤー、仕入量(数量割引を前提)、仕入回数、輸送手段、到着港、配送センター、
運送業者、輸送経路、受注・出荷時期などです。いずれの要素が変わっても、商品が発地(製造施設など)から最終的に店頭に届くまでの「経路」が変わってくる可能性があります。

サプライチェーンデザインのソリューション:

この戦略の目標は、最小コストで望ましいサービスレベルを達成できるモノの流れと経路を見い出し、利益を最大化することです。モノの流れの最適化は、製品それぞれの性質を考慮して最適な供給・流通経路を提案します。また、製品の流れをSKUごと、またはカテゴリーごとにモデル化します。

経費節減の実現には、最終コストを最小限に抑えられる適切なネットワーク構成が必要です。在庫規模の適正化やモノの流れ・経路の最適化により、最終的なコストの効率化が可能です。在庫規模の最適化では在庫の量と場所を、モノの流れの最適化ではネットワーク内でのモノの動きを検討します。

ケーススタディ:

あるグローバルな消費財メーカーでは、ヨーロッパの10か所の工場からスペインの顧客に商品を提供していましたが、その流れを把握したいと考えました。このメーカーでは商品の90%以上をスペイン北東部の配送センターに集め、そこから自社のトラックで出荷していました。モノの流れの最適化と並行して、ハブ拠点の新設、配送センターの増設、近海航路の利用、輸送手段(鉄道、近海や水路、3PL)などのオプションも組み込みました。また、いずれのソリューションも厳しい顧客サービス要件を満たすよう、サービスレベルの制約も加えました。

様々な条件を変えることでモノの流れの経路が数千パターン生成され、各製品と生産場所について最も小さい最終コストとなる最適な経路が提案されました。最適なネットワーク構成として出されたソリューションは、スペイン中央部にDCを新設し、そのDCで全体の商品量の50%強を取扱い、輸送には鉄道を利用するというものでした。DC新設に伴う施設運営費、在庫保有費、取扱料は全体の輸送費の大幅な削減で相殺され、1億5 ,000万円相当を超えるサプライチェーンコストの削減が可能となりました。

図 4: before

図 4: before

図 4: after

図 4: after

 

Strategy 5: 数量割引の最適利用

ビジネスの課題:

小売企業の多くが、発注量により段階的に製品単価が割り引かれる数量割引の取り決めをサプライヤーと結んでいます。小売企業はなるべく安い単価が適用されるよう、大量に仕入れようとします。ところがこの仕組みは結果的に製品の最終コストを上昇させることがあります。大量仕入が原因で在庫過剰となり、保管料、取扱料、輸送コストが増加するためです。大量仕入で得た節約額よりも、サプライチェーンコストの上昇分が上回る場合もあるでしょう。各製品の数量割引を最適化するためには、エンド・ツー・エンドのサプライチェーンコストをモデル化し実際の最終コストを算出する必要があります。

サプライチェーンデザインのソリューション:

エンド・ツー・エンドのサプライチェーンモデルを構築するには、サプライヤーから店舗までの過程で生じる全てのコストを組み込む必要があります。コストを全て組み込んだモデルはネットワークの形で表示され、様々な構成や在庫管理のオプションに対する新たなポリシー(補充頻度、輸送手段、取扱コスト)が生成されます。この段階でサプライヤーの割引価格を組み入れてネットワーク最適化を実行すると、最終コストを最小限に抑えられる適切な仕入量や頻度が算出されます。

ケーススタディ:

ある北米のスーパーマーケットグループの調達部門ではサプライヤーと数量割引契約を結んでおり、一定の量を購入すると安い単価が適用されます。例えば、ある商品を1,000個仕入れる
と単価は1.47 ドル、1万個では1.25ドルとなります。そのため、まとまった数量を発注できるよう、仕入時期を前倒しあるいは延期して購入しています。このグループでは実際の最終コストを確認するため、調達価格、インバウンドとアウトバウンドの輸送、倉庫料、在庫保管料、中継コストを組み込んだエンド・ツー・エンドのサプライチェーンモデルを構築しました。モデルは、割引が適用となる数量と割引価格をインプットできるようになっています。モデルを使って検討した結果、最終的なコストを最小限に抑えられる最適なソリューションが提案され、年2億円相当を超える規模のサプライチェーンコストの削減が可能となりました。

図 5: 最終コストの2つのシナリオ #1の割引価格帯では製品を安価で購入できる一方、サプライチェーンコストが割高となるため最終的なコストが上昇。 #2の割引価格帯では製品の購入価格は上がるものの、最終的なコストは低下。

図 5: 最終コストの2つのシナリオ
#1の割引価格帯では製品を安価で購入できる一方、サプライチェーンコストが割高となるため最終的なコストが上昇。
#2の割引価格帯では製品の購入価格は上がるものの、最終的なコストは低下。

 

Strategy 6: インバウンドの集約

ビジネスの課題: 同じサプライチェーン内で複数のDCが個々に在庫を補充しているとしたら、各DCが少ない量で頻繁に発注をかけることになり、製品コストは上昇します。1か所のDC(例えばサプライヤーから最も近いDC)にインバウンドを集約する体制を取れば、大幅な経費削減となるでしょう。サプライヤーからの荷物は全てそのDCで受け取り、適切な数量を必要に応じて他のDCに移送します。この仕組みは流通ネットワークに二次的な階層を追加することになり、取扱コストや移送費が新たに発生するものの、輸送資産の効率利用と数量割引の活用により大幅な費用節減を実現できます。一括で発注するため個々のDCで大量の在庫を抱えることなく、数量割引による安い価格での仕入れが可能になります

サプライチェーンデザインのソリューション:

この戦略の目標は、ネットワークに二次的な輸送の階層を追加し、全体のサプライチェーンコストと最終的な製品コストを大幅に削減することです。小口で直送する場合と、経済的な輸送方法(満載)で集約センターに輸送する場合でのコストを比較するモデルを構築すれば、エンド・ツー・エンドのコスト、サービス制約、二次的な階層で生じる追加の取扱コストや保管料に基づき最適な輸送プランを見い出すことができます。全てのコストを特定してバランスを取り、最適な最終コストを判断できれば、数量割引を利用しながら、事前仕入による過剰在庫を抑える購買プランを策定できます。

ケーススタディ:

ある大手小売チェーンは商品をシカゴで一括して仕入れ、東海岸中南部の各州に移送していました。直送は主にトラック1台分未満でした。インバウンド輸送の経済性を最大化するため、このチェーンでは「現状」のサプライチェーンをモデル化し、クロスドック/二次輸送センターとして既存のDCを使えるかを検討しました。メリーランド州にあるDCを二次輸送の拠点とし、インバウンドとアウトバウンドを経済的な荷量で動かした場合、年間1億円相当を超えるコスト削減となることが分かりました。

具体的には、以下のコストの削減が可能になりました。

  • 全体的な輸送コスト(インバウンドの満載化、巡回型アウトバウンドの経路統合により)
  •  商品の購入コスト(経済的な数量の仕入れによる。サプライヤー側も経済的規模での注文処理や出荷によりメリットを享受)
  •  在庫保有コスト(集約センターでの処理工程は増えるものの、下流のDCでの在庫レベルの平準化が図れる)
図 6: before

図 6: before

 

図 6: after

図 6: after

 

Strategy 7: 固定の巡回経路のデザイン

ビジネスの課題:

小口(トラック1台に満たない荷量)の出荷を頻繁に行うと輸送コストは割高になります。出荷履歴を定期的に確認し、集約できる出荷がないかどうか判断すれば輸送コス
トの削減機会を見つけられるでしょう。また、集約できる出荷が繰り返し発生している場合には、固定の巡回経路として設定することを検討するといいでしょう。

サプライチェーンデザインのソリューション:

固定の巡回経路をデザインすると、集約が可能な出荷のパターンが明らかになります。例えば、同じDCから同じ店舗に出荷されている複数の小口貨物がある、同じDCから同じ地域、または同じ方向に向かう出荷があるといったケースです。この戦略の目標は、LTL(トラック1台未満)の荷物をTL(トラック満載)に集約し、最小の輸送コストを達成することです。出荷頻度を減らし、より経済的な荷量での発送を図ります。サプライチェーンネットワーク全体をモデル化し、異なる輸送方法や可変要素(コスト、時間、キャパシティ、配送パラメーター)を組み込むことにより、最善の輸送構成や最適な輸送資産の数、その配置を判断できます。モデルで提案された経路をシミュレーションし、実際のコストやサービスレベルを予測することも可能です

ケーススタディ:

あるオフィス用品販売会社では、コネチカット州の配送センターから北東部の店舗に製品を出荷していましたが、この地域ではTLでの出荷を組むことが日程や経路上難しく、個々の店舗に
LTLで直送していました。そこで過去の輸送パターンを最適化した結果、輸送経路の多くをTLによる巡回型に転換できることが分かりました。トラックの運行には条件があったため、それを制約として組み込んだ経路を検討したところ、それでもコスト削減の効果がありました。出荷の集約と経路の変更により、年間500万円以上に相当する輸送費の削減が可能になりました。

図 7: before

図 7: before

図 7: after

図 7: after

 

Strategy 8: DCと店舗の割り振り

ビジネスの課題:

Distribution networks must evolve as volumes grow. Distribution centershave finite capac出荷量の拡大に合わせ、配送ネットワークも進化させる必要があります。配送センターの能力には限りがあり、輸送経路にも距離の制限があります。戦略地域に配送センターを増設してネットワーク拡大に対応するというのも、全体のサプライチェーンコストの削減に効果的かもしれません。DCの作業量の均等化と輸送距離の短縮を実現できれば、たとえ施設コストの増加となっても、実質的には経費節減につながることがあります。

サプライチェーンデザインのソリューション:

この戦略での目標は、どの店舗をどのDCの管轄とするか、つまり、DCのサービスエリアの適正化により最小のサプライチェーンコストを実現することです。最適化モデルでDCのキャパシティと取扱・輸送コストを均等化し、DCの増設で供給経路を短縮できるかどうかを検討します。またインバウンドの集約と同様、DCと店舗の割り当てを最適化するモデルでも、全てのコストを評価、均等化してから最適な戦略を判断し、均衡点を見極めます。

ケーススタディ:

ある全国的な小売チェーンは、ボストン、ヒューストン、デンバーの3つの主要な配送センターと、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルの外部委託の配送拠点から各店舗に商
品を納入しています。ある時、一部のルートで輸送距離が過度に長くなっていることに気付きました。ネットワーク最適化を行ったところ、アトランタに新たなDCを追加し、シカゴのDCを内部化して業務を拡大すれば、輸送距離を適正化できることが分かりました。また、DCの処理能力のバランスを改善すれば、輸送コストも大幅に削減できることが明らかになりました。店舗をカバーでき、最終的なコストをできる限り抑えられるネットワーク構成を見極めた結果、年間6億円相当のコスト削減につながりました。

図 8: before

図 8: before

図 8: after

図 8: after

 

Strategy 9: サプライチェーンコストの最適化

ビジネスの課題:

顧客、製品、サービス、販売経路の違いは、マージンの差につながります。マージンが低い、あるいは採算が合わない製品と顧客の組み合わせや、高コストのプロセスを特定
できれば、企業の利益改善につながるアクションプランの策定が可能となります。サプライチェーンコストの最適化では、顧客の製品需要を満たす際に発生するサプライチェーン全体の活動やコストを分析して数値化します。サプライチェーン内の全ての機能を最適化するため、顧客に販売される各製品の収益性を正確に評価できます。

サプライチェーンデザインのソリューション:

この戦略の目標は、製品を顧客に提供するコストを最小化することです。サプライチェーンコストの分析でネットワークの課題が明確化され、サプライチェーン改善のためのアクションプランの基盤ができ上ります。サプライチェーンコストのモデルには、製品を顧客まで届け、収益を回収するまでの全ての活動が組み込まれます。サプライチェーン内での主な活動が、顧客への製品の提供コストにどう影響しているかをモデル化します。また、SKUやサービスレベルごとに、各顧客に対する製品の提供コストを算出します。サプライチェーンコストの最適化では、ネットワーク内での様々な活動に基づいてコストの選択肢を検討します。そして、サプライチェーン全体のトレードオフを考慮し、最小のサプライチェーンコストを実現できるネットワークの最適なデザイン、構成、流れを見極めます。

ケーススタディ:

900を超える店舗を展開し、数千単位のSKUを有する北米の小売チェーンは、利益は上がっているものの、各商品を顧客(店舗)に届けるまでの総コストを正確に算出できていませんでした。不採算な店舗と商品の組み合わせが相当あると推定されたため、全体的なサプライチェーンコストを最適化したいと考えました。サプライチェーンの主要なコスト要因を全て組み込んだモデルを作成した上で、各商品の流れを地図上で示し、各拠点での商品の累積コストを算出しました。また、利益率や限界マージンを算定できるよう販売価格もモデルに組み込み、最適化テクノロジーを使って、コスト的に最適な運営を可能とする様々な商品の流れを検討しました。最適化を行った結果、全体のコストを22億円相当削減でき、利益率も2%上昇しました。

 

 

おわりに

商品を仕入れる際の単価を重視し過ぎ、全体のサプライチェーンコストが割高となる例がある一方、サプライチェーンデザインのテクノロジーを活用して、最終的な総コストという観点からバランスの取れたアプローチで意思決定を行っている企業もあります。世界の小売大手の多くは、サプライチェーンの継続的な見直しと改善を繰り返し行っています。モデル化のテクノロジーを活用し、様々な市場の状況や想定においてサプライチェーンがどう機能するかを検討し、コスト、サービス、リスクのトレードオフを分析しています。実際のサプライチェーンを反映したエンドツーエンドのデジタルモデルを維持していれば、市場状況の変化に応じてサプライチェーンの運用を見直し、最適化し直すことが可能となり、大幅なサプライチェーンコストの削減と利益の増加が期待できます。