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供給コスト(Cost-to-Serve)最適化を活用する: 顧客数と製品の収益性の向上

顧客のニーズに対応するための実質コストは?
サービスレベルを90%から95%に上げるために必要なコストは?

もし企業がこれらのような質問に答えられないとすれば、十分な情報を得ないままビジネスの意思決定が行われており、さらには気付かぬうちに採算性に乏しい顧客にサービスを提供していることが考えられます。結果として、いったいどれほどの時間とリソースが無駄になっているのでしょうか?
最大の目標は、顧客の採算性を改善したり向上させたりすることにより、企業の収益性を向上させることです。これは、現行の顧客と製品についての正確な供給コストデータなしには不可能に近いことです。

正確な供給コストモデルを作成することで、次のような問いについて回答できるため、データに基づいた意思決定に役立ちます。

  • 特定のサプライチェーン構成やコストを前提とした場合の顧客または顧客層の収益性は?
  • 製品の在庫および流通の継続の合理性は?
  • 供給コストに対する適切な請求額は?

販売価格を組み込むことで、正確な供給コストおよび提供マージン(Margin-to-Serve)モデルを使用して、より良い意思決定を行い、財務上のサプライチェーン最適化が可能となります。

このホワイトペーパーでは下記について説明します:

  • 供給コスト最適化の基本原理、供給コスト分析と活動基準原価計算の違い
  • 供給コスト最適化が提示する代替策および導入の利点と影響

 

供給コスト最適化とは?

供給コストとは、エンド・トゥ・エンドのサプライチェーンを通して製品に対する顧客の製品需要を満たすのにかかる全ての活動と関連コストを分析、数値化したものです。正確な供給コストの測定基準は、ネットワーク内のサプライチェーン活動をモデル化し、固定コストと変動コストを累算して正しく配分することにより得られます。事実に即した供給コストを得るには複数の手法や法則がありますが、各手法の差異は必ずしも明確ではありません。「活動基準原価計算」(ABC)と「供給コスト分析」(CTSA)は2つの異なるモデリングアプローチですが、どちらもプロセスまたはサプライチェーンモデル内でのコスト要因への間接コストの配分を必要とします。サプライチェーンネットワークデザインと供給コスト最適化は、どちらもコスト削減と収益性向上の機会を導き出すことができるサプライチェーン最適化の一手法です。

適切なサプライチェーン原価計算手法を識別する

2つの手法を理解する上での第一歩は、活動基準原価計算と供給コストは異なるものではあるものの、どちらも同様のアプローチを活用しているという点をまず認識することです。どちらの手法も、間接コストプール――ひとつの注文、出荷、活動に簡単にかつ直接帰属させることのできない諸経費や固定費――を個々の製品や製品グループに配分することに重点を置いています。また、分析対象であるプロセスやネットワーク内の「隠れた」コストを明らかにするのが目的です。ただし、2つの手法の用途、内容、詳細度には違いがあります。

  • 活動基準原価計算(ABC)は財務部門で用いられることが多く、変動するコスト要因下での各部門、プロセス、ビジネス活動の予算の見積りや予測に使用されます。ABCモデルなしでは、製品構成と量の変化の経済的影響が正しく理解されないこともあり、不適切な意思決定につながることもあります。ABCは、財務部門が組織内部での製品コスト全体に焦点を合わせ、プロセスまたは組織内の関連する全ての活動を識別するのに役立ちます。また、労働時間や製品量など、間接コストの配布基準となる生産における活動(費用を伴う特定の活動)を明らかにします。付加価値の有無に関係なく、プロセス内で実行される全活動の詳細なモデルを作成し、活動要因を関連する全てのコストに直接紐付けすることにより、従来のその他の手法に比べてより正確なコストモデルが得られ、「what-if (もしも)」の予算を判断できます。ABCモデルは極めて詳細で、用意するのに非常に時間がかかります。また、従来のコスト原価計算手法を補完し、特定の財務決定を分析するのに使用されることが一般的です。ABCは通常、顧客への譲渡時のエンドセールスアイテムには応用されません。
  • 供給コスト(CTS)は、サプライチェーン内の全機能領域にわたっており、顧客に販売される個々の製品およびアイテムの総合的な採算性を正確に評価することを目的としています。CTSモデルは、顧客配送を完了させ、製品収益を得るために必要な全活動を包含します。主要な各サプライチェーン活動が、製品に対する顧客ごとまたはランディッドコスト(Landed Cost)ごとにエンド・トゥ・エンドの供給コストにどのように影響するのかをとらえます。言い換えれば、SKUレベルおよび指定のサービスレベルでの個々の顧客へのサービス提供にかかる総コストを特定することであると言えます。

 

CTSプロジェクトを指揮する分析担当者は、サプライチェーンのどこでコストが生じているのかを判別する必要があります。CTSは、製品と顧客の組み合わせがそれぞれ異なり、それゆえにコストも異なることを認識しています。このCTS分析は、製品カテゴリや顧客タイプの傾向を検討する際に何よりも有意義です(個々の製品/顧客の組み合わせの分析は細かくなりすぎることがあります)。販売価格が要素に加えられると、顧客アカウントの収益性も計算されます。

供給コストをビジネスに変更を加えるためのツールとして使用するのは魅力的ですが、この進め方は非常に危険であり、誤った方向へとビジネスを進めてしまう可能性があります。CTSモデルで採算性がないと判断された顧客および製品あるいはそのどちらかを切り捨てることは、固定コストを削減できる確証のないまま、関連する収益を切り捨てることにもなります。CTS分析は、ビジネスのさまざまな顧客または製品セグメントの相対的収益性を理解するための管理の一手法として考えるのが最善です。CTSを意思決定ツールとして実際に使用するには、ネットワークモデルでの変更を収益と固定コストの両方に紐付けする必要があります。固定コストと収益の関係が適切にリンクされているCTSモデルを用いることで、CTSによる今後の状況の正確な予測が可能になります。CTSモデル化を活用してより良い構成を見出すことを、供給コスト最適化(CTSO)と呼びます。

供給コスト最適化を効果的に実行するために必要なこのテクノロジーとモデル化アプローチは、サプライチェーンネットワークデザイン(SCND)で使用されるものに非常に似通っています。SCNDはまた、財務面からエンド・トゥ・エンドのサプライチェーン全体の評価と最適化を可能にします。ネットワーク構造、サプライチェーン・ポリシー、統合的オペレーションを評価し、ネットワーク内のコスト、時間、キャパシティのトレードオフを最適化します。SCNDは、製造フットプリント(製造拠点、製造量)と物流構成を再編成し、システム全体の「グローバル」な最適化を実現するべく、在庫および輸送コストを組み込みます。

CTSモデル化を使用してより良い構成を見出すことを、供給コスト最適化(CTSO)と呼びます。

CTSOとSCNDは同一のモデリングテクノロジーを使用していますが、その目標と必要とされるレベルのモデル詳細度は異なり、CTSOはより詳細な財務情報を活用します。CTSOには、負担となる固定コスト(人件費、シフト、資産/キャパシティ、設備費)を回避するために個々の顧客にサービスを提供するのかしないのか、個々の製品を供給するのかしないのかについての意思決定が含まれます。間接および直接コストは、代替の構成がそれぞれできるだけ正確なものになるよう、モデルの一部として配分されます。CTSOは通常、SKUおよび顧客ごとに実施されます。一方、SCNDは一般的に製品の集合体に依存し、また多くの場合、顧客需要の集合体にも依存します。

サプライチェーンネットワークデザインは、キャパシティ制約に基づいてネットワーク構成を最適化することに重点を置き、そのネットワークにおける材料の流れ全体を総計します。供給コスト最適化は、個々の顧客と製品の収益性を可視化することでネットワークを最適化し、利益よりも固定コストを大幅に低下させる構成を探します。

供給コスト分析と供給コスト最適化の違いは、シンプルな分析は単に現在の状態をモデリングし、問題を特定するだけであるという点です。顧客へのサービス提供の総コストと、顧客ごとの各製品の総引き渡しコストがそれに相当します。CTSOは意思決定の材料となる情報を提供し、実際に結果を最適化します。多数のABCオプションを評価し、最適なネットワークデザイン、構成、流れを判別して、あらゆるエンド・トゥ・エンドのトレードオフに基づく最小の総CTSを実現します。

供給コスト最適化がもたらすものとは?

次のようなことを知りたいとは思いませんか?

  • 顧客注文のうち採算に見合わない注文はどの程度の割合か?
  • 顧客注文が10%以上増加すると採算が取れなくなる?
  • 利益に貢献していない製品ポートフォリオはあるか?

さまざまな顧客、製品、サービスレベル、物流チャンネルがそれぞれ異なる利益に寄与しているということを認識し、まず採算性に乏しく低利益である製品と顧客の組み合わせおよび高コストのプロセスを識別し、次にビジネスの収益性を向上させるためにそれぞれに対する行動計画を構築します。

供給コスト分析にわずかな投資を行えば、行動計画の基盤となる主な課題を識別でき、すぐさま利益をもたらします。下のグラフは、実際のクライアントの取扱品目から取得されたCTSAの例です。

分析結果は、採算性に乏しいか、全く利益に貢献していない顧客が極めて高い割合を占めている(44%近く)を示しています。CTSAを実行することで、このクライアントは、収益性を向上させるために行うべき、急を要する活動項目を判別することができました。さらに重要なのは、長期的に改善すべき点についての情報を得られたことかもしれません。もちろん、この問題の原因を究明するにはさらなる分析が必要となり、また取るべき行動はさまざまです。

Chart_1

 

こういったデータが利用可能となったことにより、このクライアントは、供給コスト最適化を実行し、採算性のない顧客の利益を向上させるために取るべき行動(値上げ/サービスの削減)、収益性拡大のための高コストのプロセスの向上方法についての戦略的意思決定を行うことができました。

クライアントがその製品およびソースポイントのポートフォリオの分析を実施した際、高すぎるコストが原因で、41のSKUが特定のソースポイントで中止されることとなりました(下のグラフを参照)。

 

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ここで注意したいのは、目標は顧客を排除することでも、製品を中止することでもなく、全ての顧客と製品の組み合わせの収益性をできるだけ向上させることにある点です。さらに言えば、変更の実施は、採算性に乏しい顧客や製品が排除されたのに固定コストがそのままにされることのないよう、慎重に行われるべきです(それでは、他の顧客と製品に負担が配分されてしまい、採算性が低下します)。

CTSOは、数値化を通じてより良い意思決定につながる無数の代替選択肢と構成変更を評価する、集約型の最適化です。コストを増大させる顧客および製品の特性を識別し、高コストプロセスを抽出し、こういったコストを緩和するための代替策を提案します。

CTSOは、ひとつの要素を変更すると他のエリアに大きな影響を及ぼすこともある繊細な分析であるため、シミュレーションが特に重要な意味を持ち、時間の経過に伴う解決策の効果を描写するのに使用することができます。供給コスト分析の詳細なシミュレーションはまた、CFOが興味を示す代替策の正確な原価計算を行うためにも実行できます。

結論

これまで、活動基準原価計算または供給コスト分析戦略は、その複雑性と労働集約的特性から、1~3年ごとに実施され、企業による製品およびカスタマーサービスプロファイルの再構成とプロセスコストの最小化に役立てられてきました。今では、供給コスト最適化プロジェクトは数週間以内に完了させることができるようになっています。モデルは、顧客内、複数の期間でSKUレベルで実行することができ、またエンド・トゥ・エンドのサプライチェーン全体を迅速に評価および最適化することができるため、この種の分析を継続的に行うことが可能になります。

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